普通電車でアポなし帰省してみたら疲労の末に感動が【大阪→東北】①

交通

2020年の夏、全国の若者は「帰省をするか/しないか」で悩んでいる。実際、お盆の帰省を諦めた人はものすごく多いはずだ。

もちろんぼくもその一人で、めっちゃ帰りたいんだけど地元には行けない。大阪で暮らしている以上、やっぱりどうしても抵抗はありますよ……。

だからこそ、空想上でもいいから帰省してみようと。そこで、2017年の秋に実施した「普通電車でアポなし帰省」の記憶を思い出すことに決めた(ちなみに往復34時間>実家滞在16時間だった、二度とやらねぇ)。

そのついでに、「どうせなら」ってことで、記事として残しておくことにします。ハッキリ言って自己満足ですが。


1日目:大阪(大阪府)→呉羽(富山県)

「そうだ、帰ろう」

こんにちは、バカみたいな旅が好きなコフンねこです。バカです。

バイトも始めたことだし、お金がある。じゃあ帰ろう、と。

でも、僕の実家は大阪から遠く離れた東北の地。気軽には帰れない。いやでも、なんとか帰りたい。でもでも、ただ帰省するだけじゃつまらない。

「アポ無しで帰ったら俺の家族はどういう反応をするんだ…?」

何も言わずに帰って、驚き喜ぶ家族の顔が見たい。これがすべての始まりでした。

問題は移動手段ですよ。実家は空港から遠いし、新幹線は高級すぎる( ノД`)…そんな僕の目に留まったのがこちら!

「秋の乗り放題きっぷ」

JRさんは僕みたいなバカにも優しいんです。毎年秋に「普通列車(快速等も含む)」が3日間全部乗り放題になる切符を発売してくれるの。

決定しました。普通列車で帰ります。大阪から山形まで。しかも、往路は北陸まわり、帰路は東海道まわりにしよう。

……この「旅を面白くしよう」という決意が、数々の悪夢を生んでしまうことになるとは。

 

大阪駅(大阪府)17:30→敦賀駅(福井県)19:49

旅のスタートくらい余裕をもってキメたかったところ。けれども、この日は大学の授業がある日だった。たしか中国語の授業だったような気がする。内容はあんまり覚えてない。

で、16:10に授業が終わると同時に大学の最寄り駅に向かってダッシュ。阪急電車に乗って大阪の大都会・梅田を目指します。

急がなきゃいけない。ネタバレすると、この日は富山の友人宅に宿泊予定だった。大阪駅を17:30に出る電車に乗れなければ、その友人の家にはたどり着けません(なんでそんな日に帰省しようと思ったの?)。

だからね、こちとら授業に出席する時点でありえないくらいパンパンのリュックを背負ってるわけ。授業が終わると同時にパンパンのリュックを背負ってダッシュしてるわけ。

そりゃもうみんな変なモノを見る目しちゃうよ。あれほど視線が痛かった日もない。

まあなんとかたどり着いた。

ここから新快速「敦賀行」に乗る。恐ろしいもんで、大阪から(もっと言うと兵庫県の姫路から)福井県まで行けちゃうらしい。

運行区間の長さもさることながら、新快速の最大の特徴はそのスピード。新快速は大阪↔京都を約30分で走る化け物列車なのだ。それゆえ夕方のラッシュ時には激混みの様相をみせる。

じゃあどれだけの人が福井県の敦賀まで利用するのかといえば、最終的には2、3人だった。それも、大阪周辺からずっと乗っていたのは僕くらいなもので、他は途中で乗ってきた人だった気がする。

秋の夜長、すっかり夜は更けていた。

 

敦賀駅(福井県)20:10→福井駅(福井県)21:27

極端なことを言うと、ぼくはもう飽きていた。この時点で飽きていた。秋だけに(なにも面白くないぞ)。

だってさ、車窓はずーっと真っ暗なんですよ。北陸の山々と田んぼが広がる大地。明るいモノがあるのは駅周辺だけ。これが大阪周辺なら「夜景がきれい」とかいろいろあるんでしょうが。

ヒマつぶし手段の一つ、「車窓を眺める」が一本目の電車の時点で消えてしまったんだね。

じゃあ鉄道の車内になにか楽しいことがあるかといえば、それもありません。JR西日本では部品の共通化をものすごい勢いで進めているらしいので。ここ北陸の電車でも中身は大阪周辺の電車と一緒ってことが多い。

うげ~~~~~~。

することと言えばネットサーフィンか寝るかのどちらかです。迷わずネットサーフィンを選ぶも、強敵・トンネルが立ちはだかります。

電波入らね~~~~~~。

 

福井駅(福井県)21:27→金沢駅(石川県)22:45

この辺マジで記憶ない。寝てたか、一度死んで蘇ったのかのどっちかだと思ってる。

そういえばこの時はじめて金沢駅の大鳥居を見たっけ。たしか「もてなしドーム」って名前だったかと。初の金沢でしたけど、滞在時間は15分。なにが「もてなし」じゃい。

 

金沢駅(石川県)23:00→呉羽駅(富山県)23:52

ここからはJRではなくなる。北陸新幹線が開業したために、並行するJR北陸本線が第3セクター方式に移行したからです。

平たく言うと「新幹線も在来線もどっちも持ってたらキツイから、在来線の一部は私鉄にしちゃうね」ってこと。そう、つまり、この先では「秋の乗り放題きっぷ」が使えなくなるの。

仕方が無いので別途切符を購入し、金沢駅から“IRいしかわ鉄道””あいの風とやま鉄道”の電車に乗車。

この日の目的地・呉羽駅に着いたのは日付をまたぐ直前。この日は高校の同級生宅に宿泊予定。呉羽(くれは)駅は友人宅の最寄り駅で、そこから歩いて向かおうと思ってた。

……とはいっても、友人の通っている大学とその周辺はマジの「山」で、呉羽駅からは歩いて1時間半かかる。覚悟は決めてたよ。でも、結局は心優しい友人が車で迎えに来てくれたんですよ。

みなさん、持つべきものは友です。

 

友人宅にて

繰り返しますが、僕は底なしの馬鹿です。日付をまたぐ頃に友人宅に来ておいて、翌朝5時にはそこを出なければなりませんでした。

いや~、逆にさ、そういう早く寝なきゃいけない状態って燃えるよね。友人とかなり遅くまで駄弁った。

お互い高校を出て大学に進学してから半年しか経っていないんだけど、半年って長いな。彼が大学のバスケ部で活躍してる話とか、バイト先の100円ショップが家から5キロ離れてる話とか、マジで驚きの連続。

一方そのころの僕といえば、特に大学でオモシロイ経験があったわけでもなく。だからこそ「普通電車で帰省しよう」などと思い切ったことをしていたわけで。

サークルもバスケ部みたいなキラキラしたところには入らなかったし、友達も決して多くない。同じ高校で同じ部活してたはずなのに、どうしてこんなに差が付いちゃったんだろう、と。

※ちなみに、この陰鬱とした気持ちは翌朝に頂点を迎えます。

つづく……

普通電車でアポなし帰省してみたら疲労の末に感動が【大阪→東北】②
秋の乗り放題きっぷを使って、「普通電車でアポなし帰省」。家族に何も言わず、普通列車だけを使って淡々と帰省した結果、待ち受けていた感動の再会とは……!?
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