飲食店の売上はどう減少した?新型コロナがもたらした窮状と休業

地方・地域の問題

生き残り戦略に賭ける

1月・2月・3月と(お店によって一部盛り返した時期はあったのだけれども)、それぞれ時期によって理由は違えど、結果として「飲食店の来客数と売り上げ」は漸進的に減っていった。

また、前章では触れられなかったが、今冬が記録的な暖冬であったことも見逃せない。雪をウリにする観光地(スキー場やその近辺など)は仮に新型コロナウイルスの騒動がなくても厳しかった。

3月末までの時点で飲食業界全体の「売り上げ」、もっと言えば『底力』は大きく減退しつつあったと言える。突発的にガクッと下がったわけではない。これは強調しておきたい。

こうしたなかで迎えた『緊急事態宣言』。一部の都市では飲食店に対する「休業要請」「時短営業の要請」が出された。

東京都/休業要請「飲食店」5時~20時まで営業可、酒類提供19時まで
東京都の小池百合子知事は4

もはや自力では取り返しのつかない事態だ。

売り上げを取り返すどころか、普通に営業することすら難しい。補助金・補償金の制度もあいまいだし、悪者扱いされている面も少なからずある。

それでも、存続に全力を尽くすほかない。

飲食業界は、多くの人が想像する以上に疲弊している。

 

「テイクアウト」の行方

2020年4月、飲食業界では「テイクアウト」「配達」「通販」がトレンドに入っていた。

「多くの人が集う、いつもの形態での営業が難しいのならば……」

『通常通り』とは、お客さんが大挙して押し寄せ、店内に「密」を作る状態を指す。お店側からしても、「密」な状態が一番儲かるタイミングである。

しかし、「密」は禁じられてしまった。加えて『緊急事態宣言』。『通常通りの営業』ができる見通しは立たなかった。

そんななかでの「テイクアウト」「配達」「通販」はいわば生き残り戦略にあたる。

これまで持ち帰り販売やインターネットの利用を避けていた飲食店もこの流れに乗った。いや、乗らざるを得なかった。少しでも稼がなければ、緊急事態宣言が明けるまで経営がもたなかった

飲食店のテイクアウト 認知のきっかけはSNSが4割――Retty調査
緊急事態宣言後のテイクアウト事情に関する調査です。
「新型コロナウイルス感染症による飲食店のテイクアウト動向調査」の結果について
株式会社メニューデザイン研究所のプレスリリース(2020年4月10日 19時10分)の結果について

上の記事で挙げたように、テイクアウトサービスの有無を知るツールとしてはSNSが最も使われている。SNSの利用者の中心は若者だから、テイクアウト利用の中心も若者だったことだろう。

詳細なデータが得られるまで断言はできないものの、テイクアウトでもそこそこの売り上げが得られたのはSNSをうまく活用できたお店だったはずだ。翻って、中高年に愛されるようなお店の状況は厳しかったのかもしれない。

 

「条件つきの営業再開」とお客さんのリテラシー

2020年5月に入ると、各地の感染状況はずいぶん落ち着いてきた。賛否両論あるものの、感染者数の大幅な増加を招かなかった点においては外出自粛の効果を評価できる。

そこで、飲食業界に敷かれていた休業要請緩和の方向に向かうことに(地域差はある)。

結果として、感染拡大のリスクを考えて完全休業していたお店にはのれんが掛かり、営業時間を短縮していたお店は夜遅くまで開くようになり、多くの人が飲食店の利用を始めた。

単に経営面で考えれば、そりゃもうドカンと売り上げを伸ばしたいところ。しかし、まだ「第2波」への懸念はぬぐえない。

 

これはいわばジレンマだ。

 

感染が怖くていまだに飲食店利用をためらう人はまだ大勢いる。その一方で、「新型コロナウイルス感染症の拡大は終わった。自分は大丈夫」と考える人がお店に来る。

つまり、お客さんのリテラシー次第ではお店が繁盛すればするほど感染リスクが上がってしまうのである。

 

各飲食店は「席数を減らし」「アルコール消毒を徹底し」「従業員やお客さんにマスクの着用を求め」、それでなんとか営業するほかない。

やっと緊急事態宣言が明けてお店が再開できても、売り上げの割に費用とリスクがかさむ営業スタイルが待ち受けていた。営業規模の縮小は未だに続く。

追記→7月以降の感染再拡大については次ページをご覧ください。

 

追記:7月以降の感染再拡大と飲食店

緊急事態宣言解除後、1か月と経たないうちに東京都内で新型コロナウイルスの感染者数が目に見えるように増加した。この流れはやがて全国に波及し、7月末から8月現在にかけて「第2波」を引き起こすに至っている。

もちろん、この「第2波」の拡大の原因は一つに限らない。ただし、緊急事態宣言が解除されたことから、いわゆる「普通の日常」に帰ってしまったことも原因の一つであろう。

例えば、夜の繁華街の利用だ。キャバクラ・ホスト・風俗などは散々指摘されてきた通り。加えて、「飲み会」「会食」もリスクのある場として盛んに挙げられるようになった。

「第2波の入り口」大人数の会食自粛促す 福岡県、2日連続で最多更新
知事、外出自粛や休業要請には慎重福岡県では30日、新型コロナウイルス感染者が新たに121人確認された。2日連続で3桁となり過去最多を更...知事、外出自粛や休業要請には慎重福岡県では30日、新型コロナウイルス感染者が新たに121人確認された。2日連続で3桁となり過去最多を更...
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飲食の場ではマスクを外してしまう。そして、食べながら会話をしたり、回し食い・回し飲みをすれば、ウイルスを含む飛沫・唾液が同席者の体内に入り込む。

普段いくら気を付けていても、食事を共にするような間柄ではどうしても警戒心が失われてしまうものだ。

つまり、誤解を恐れずに言えば、問題はお店側ではなく「客側のリテラシー」にある。本来はそのように認知されるべきだった。

しかし、世間様はそうはいかない。感染者を出したお店は叩かれ、避けられる。そのうち「外食=リスク」のような捉え方も生まれ、人は飲食店に行かなくなる。

さらには、会社などから「飲み会禁止」を言い渡された人々も大勢出たことだろう。そうでなくとも、高齢者や基礎疾患を有する家族がいる人は外食を自粛せざるを得なかった。

これが、飲食店の売り上げの減少に「第2波」をもたらしてしまう。稼ぎ時のお盆に、なぜか人が来ない。

繰り返すと、リスクを生み出すのは飲食店ではなくて、お店を訪問する我々自身にある。感染をなるべく広げない、人に移しにくい食べ方はすでに提唱されているのだから、それを知るべきである。

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なぜなら、飲食店側は客であるあなたの行動に対してなかなか文句など言えないからだ。それでいて、客足はへっていく一方。

飲食業界は、多くの人が想像する以上に疲弊している。

国・行政・一般市民を問わず、具体的な支援策が必要だ。「第2波」では特にこの点が無視されがちだった。感染拡大を放置していては、結果的に経済が停滞してしまう。この記事が1つのきっかけになれば、と筆者は考える。

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