必要とされているから、行く。【はじめての災害ボランティア】

旅行記

「はじめての災害ボランティア」

【はじめての災害ボランティア】旅・観光と組み合わせる、新しい形。
堅苦しいイメージのある「災害ボランティア」に、旅・観光のエッセンスを追加したら?大きな台風被害を受けた栃木県でみつけた『災害ボランティアの真実』とは。

この記事は↑↑↑の記事を書いてくれた坂本くん(災害ボランティア経験者)による、乾さん(災害ボランティア初体験)へのインタビュー形式で進んでいきます。


簡単に自己紹介をお願いします。

大阪大学人間科学部1回生の乾ありさです。

地方創生サークルReibreお祭りダンスサークル祭楽人に所属しています。

興味を持っている分野は、まちづくり・地方活性化・災害ボランティア・北欧の福祉・学歴社会などです。

進路決定のためにも今はさまざまなことを経験してみたいなと思っています。

栃木県佐野市での災害ボランティアに参加したきっかけを教えてください!

災害ボランティアを専門とする教授の講義を受けたのがきっかけです。それで、実際のボランティアがどのようなものなのか知りたくなっちゃって。

へー!どんな講義だったんですか?

その講義で触れていたことの一つに『被災地のリレー』があります。

『被災地のリレー』過去の被災地現在の被災地を支援する動き。

例:阪神淡路を経験した人が、東日本大震災のボランティアに向かう。

これまで『被災地のリレー』の存在自体は聞いたことがありました。

しかし、講義を受けたことで『被災地のリレー』実際に行われていることが分かったんです。知識だけをもっている状態から一歩進んで、すごく現実味を感じました。

その講義、僕も受けてみたかった……!そのテーマはぜひ次回に持ち越しましょう。

 

ボランティアへのハードルと心境の変化

ボランティアに参加するハードルはありましたか?

今回のチームの半数の人とは当日が初対面で、それに年上の賢そうな方ばかり。だから、参加する前からハードルの高さを感じていました。緊張しっぱなしです。

でも、打ち解けるのはそんなに難しくなくて。いろんな肩書きのフィルターを通してその人をみていたせいで、自分で勝手にハードルを上げていたみたいです。

 

だんだんと「純粋に横並びでつながりたい気持ち」で接することができました。

 

これ、「災害ボランティアって意識高いんじゃないか?」と思っている人に向けて伝えたいです。

「そんなに構えなくてもいいよ」って。

そうですね。「意識高い」と揶揄されがちなボランティアですが、いざ行ってみるとすごく入り込みやすい気がします。心地よい場と人間関係があるってことを、僕もみんなに知ってほしいです。

それから、正直に言うと……参加前は、「ボランティアをすること」自体が目的でした。

というと?

人とのつながりとか、出会いとか。そういうのじゃなくて、本当は「ボランティア」という言葉に惹かれただけなのかもしれません。そんな気持ちで活動してもよいのか不安でした。

それに、「自分ができる事を率先して見つけていかなきゃ……」と思い込んでいました。慣れている方がどんどんこなしてしまい、自分のやることがなくなってしまわないか心配でたまらなかったです。

なるほど……実際に活動してみてどうでしたか?

 

「必要とされているから行く」

 

それがボランティアに挑戦してみた感想です。

現場では、毎週ボランティアのために遠方からやってくるボランティアのプロと呼ばれる方々の存在や、広島県から1人でリュックを背負ってやってきた男子高校生がいた話をお聞きしました。

 

そこでようやく「動機はシンプルでいいんだ」と気づけたんです。

 

実際に活動して、地元の方々に感謝されることではじめて、「ボランティアはそんなきれい事じゃない。意識高いと思われてしまうとかそんなことじゃない。目の前の人と向き合って、もっと言えば、並んで、地道に自分にできることをするだけ」と感じるようになりました。

目の前のことを、自分にできることをする。ボランティアってただそれだけなんですよね。本当に、「他人の反応が気になる」とか「自分でやることを探さなきゃダメ」なんてことはありません。

 

わたしにとって「他人のまち」ではない

今回はボランティアだけでなく栃木県内での旅もしましたね。乾さんって、以前に栃木を訪ねたことはありましたか?

いいえ、今回がはじめてです。

それどころか、このボランティアをするまで「佐野市」の名前をとりわけ認識したことがありませんでした。佐野市のゆるキャラ“さのまる”の存在を知っていたにもかかわらず、佐野市“さのまる”が私の中で結びついていなかったくらいです。

※栃木県に来るのは参加者6名全員がはじめてでした。

だけど、ボランティアを終えたあとは「栃木県」がニュースに出るだけで自然に反応している自分がいます!

その気持ちよくわかります。旅をしていて、何か印象に残っている場面はありますか?

地元の人も通う『金魚の湯』で出会ったお母さんのことが忘れられません。

その方は、おもむろに携帯を取り出して写真を見せながら、台風19号の際の浸水被害のようすを教えてくださったんです。

 

弟からの電話で避難することを決心した話。

銭湯の間仕切りまで流されてしまった話。

周囲の人と「もう笑うしかないね」と励まし合った話。

 

私が訪れた時にはかなり復興しているようにみえたので、その話や写真と自分が見た風景のギャップに驚きました。

実際に活動することに加えて、現地の方とお話をすることで、被災地域のリアルな姿が見えてきますよね。

「ただ旅行でその地域に行った」だけでなく、ボランティアを通して、その土地で暮らす人との会話があった。だからこそ、佐野市のリアルな生活感を感じることができたのだと思います。

 

私は佐野を訪れ、ボランティアをしました。

その名を耳にすると、今でも反応してしまいます。

 

佐野は私にとってもう他人のまちではありません。こんなにも簡単に、全く知らない地域と人がつながれるんですね。

全く関わりの無かったある地域なのに、一回のボランティアを通して身近に感じられる。そのことがとてもうれしかったです。

“他人のまちではない”って響きいいですね~。その考え方は普段の旅や生活でも応用できるような気がします。

そうですね。知らない土地を訪れる時は、観光に携わる人だけでなくその地域で暮らしている人と会話をするように心がけたいです。

一つ一つの地域を、その生活感も含めて感じられたら!

 

笑顔で見送ってもらった

佐野市のボランティアセンターの方々が作業を終えた私たちのことを笑顔で見送ってくれたのが印象に残っています。

わたしたちは、佐野市に初めて来た素性の知れない大学生です。そんなわたしたちを、佐野市の方々はものすごく歓迎してくださいました。驚きです。

「なぜこんなところまで?」

と、質問されまくりでしたけど、来てくれたからには温かく受け入れようとしてくださったボランティアセンター方々。その和やかな雰囲気に、「参加して良かった」と心から思いました。

この記事をよんでくださったみなさんも、ぜひ災害ボランティアに参加してみてください。きっと、暖かい出会いがありますよ。

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