「古墳」と「発酵」。普通に生きていたらなかなか聞かない言葉だと思う。けれども、この2つには大きな関係がある。
何を隠そう、日本における発酵文化は古墳時代に大きく飛躍した。日本人なら誰しもが知っている「酒・醤油・味噌」のルーツは古墳時代にあるのだ。
そうは言っても、証拠はほとんど残っていない。あるのは文書ではなくモノ。つまり、現代の姿の発酵食品そのものである。
そこで、このシリーズでは「古墳と発酵」と題して日本の発酵食品のルーツを解き明かしていく。残念ながら学術的な論証は難しいので、筆者自身の知識と経験に基づく考察程度に捉えていただきたい。
Vol.1 愛知・赤味噌文化のルーツを探る
愛知県の食べ物といえば、まずは味噌が頭に思い浮かぶ。味噌カツ・味噌おでん・味噌煮込みうどん……とにかく何にでも味噌をつけたりかけたりする。
ただし、愛知の味噌の様子は他地域のソレとだいぶ違う。色が「赤い」のだ(厳密には赤よりもむしろこげ茶色に近い?)。その特徴から、いわゆる「赤味噌」に分類されている。
調べてみると、こうした愛知的な赤味噌は東海地方にだけみられるモノだという。
本記事のテーマは「愛知・赤味噌文化のルーツを探る」ことだ。起源を追い求めるには、秘密のベールを一枚一枚剥いでいくしかない。
そこで、まずは製造元を訪れ、“愛知のお味噌が「赤い」秘密”について尋ねてみることにした。