みなさんこんにちは。大阪大学人間科学部1年の谷一浩平です。
僕は大阪大学地方創生サークルReibreに所属しています。Reibreでは毎年夏に2泊3日のまちづくり合宿を行っているのですが……今回の舞台はなんと僕の地元・石川県七尾市。
そこで、地元のまちおこしについてもう一度探るために、石川県七尾市のまちづくり会社:「株式会社御祓川(みそぎがわ)」さんのお話を伺ってきました。
御祓川での学びを述べる前に、まずは僕の生まれ育った地元である七尾について少し紹介させていただきます!
七尾市とは……
石川県七尾市は能登半島の中央部に位置する人口約5万人の自治体で、農業や漁業が盛んであり、温泉や水族館など観光業も有名です。
現在は少子化が進んでおり、最近でも小学校・中学校の統廃合が行われました。
しかし、他の地方からの移住者は石川県内の自治体で一番多いんですって!
多様な側面を持った七尾。僕が知らないこともまだまだあります。唯一自信を持って他人にも説明できるのは、石川県における七尾市の「場所」です。
これだけは覚えてください。七尾市の場所は「親指を石川県に見立てた時の第一関節らへん」です。
僕が七尾市の紹介をする時は毎回こんな感じで説明します。石川県出身の方は自己紹介をする際に是非親指を使ってみてください。めっちゃわかりやすいですよ多分。
株式会社「御祓川」とは……
さて、株式会社御祓川に話を移しましょう。
株式会社御祓川は、民間の資本だけで設立された七尾のまちづくり会社です。
七尾の地域資源をもとに、まちづくりをするにあたって重要となる「マチ、ミセ、ヒト」の3つを育てる事業を展開中とのこと。
※もっと知りたい!という方はホームページをご覧ください。
現在は「ヒト育て」を中心に活動しているといいます。(※御祓川の人材育成について、詳しくは藤井くんの記事を見ていただければ!)
今回は代表の森山奈美さんにお話を伺いました。たくさんの学びがあったので、本当は全部書きたい……ですが、今回は紙面の都合上「お話の中で大切だと思ったキーワード」を中心に述べていきます。
個人的に「大切だ!」と思った学びのキーワードは次の3つです。
この3つのキーワードについて、一つ一つ詳しく見ていきます!
その①「『地域活性』とは常に何かが動いていること」
七尾のまちづくりは、もともと1986年に発案された「七尾マリンシティ構想」から始まりました。
その構想に従って、港の方に道の駅「能登食祭市場」を、駅前には複合型商業施設「パトリア」を開設。”駅前と港の二核一軸”をコンセプトに中心市街を盛り上げる計画ができました。
能登食祭市場
パトリア
その際、御祓川沿いの道路をシンボルロードとして整備しようという都市計画のもと、道路の幅を広げようとしたのですが……立ち退きを要求しなければならないこともあったのだそうです。
地元の人の中には、
「地域活性したいのか、出ていけと言っているのか分らん」
と思う人もいて、それを機に廃業する店もあったと言います。
しかし、それがきっかけで家を建て替えて新しく店を始めた所もあったとか。”現在その店は経営者の方の実家の土地に移転し、空いた土地にはまた新しい店ができた”、とのこと。
何かを変えるには障壁もあるけれど、新しい機会も生まれたんですね。
代表の森山さんは「地域活性化とは、常に何か新しいことがある、チャレンジが常にある状態」とおっしゃっていました。
みなさんはどうでしょうか?この言葉、僕はストンと腑に落ちました。
株式会社御祓川は、人材育成の一環で大学生向け長期実践型インターンシップ(通称「能登留学」)を行なっています。インターンシップ生がその後、七尾や能登地方に移住、就職することもあるそうです。
株式会社御祓川は、そういった形で地域の担い手を増やしていく取り組みを続けています。
「僕はどうかな?」と考えてみると……LCT(ローカルキャリアツアー)の運営に当たって、新たなチャレンジが生まれるような仕組みを意識し続けています。
※LCTについてはこちらをご覧ください。
https://note.com/kaikyou1223/n/n6561e0a14f0e
第一回のLCTでは、地域活性化が進んでいる宮崎県日南市を訪れ、その最前線を見学させていただきました。
その目的は、「自分が地域で挑戦したいことを見つけ、伸ばしていくこと」。
LCTでは、ただ宮崎に行くだけでなく報告会の形で全員の成果や目標を再発見できるようにしているんです。これも、新たなチャレンジを続けるための一つの方法だと僕は信じてます。
「新しい何かを生み出し続けることで可能性が開けていく」
基本的ですが重要な事柄ではないでしょうか?
②「地域の固有性を見るには3つの‟間”を見る」
「この3つの”間”とは何か」、少し考えてみてください。
分かりましたか?
僕は株式会社御祓川で聞いた答えは「時間・空間・人間」でした。
今回は特に空間についての話に触れます。実は「空間」って地方創生でめちゃくちゃ重要な要素なんですよ!
「七尾を含む能登は内海で港に適した地形であり、田園と海が並立した風景が当たり前のようで珍しい」と森山さんはおっしゃっていました。
能登には、人間が手をつけた自然……つまり里山里海の風景が広がっています。これって特別なことなんですって!里山里海のおかげで景観が保たれたり、台風や豪雨などの自然災害にも強くなったりしているそうな。
今までの人生の多くを能登で過ごしてきましたが、こんなに特殊な風土を持ってたなんて……
能登の恵まれた「空間」も、当たり前のようで実は希少なもの。これを活かさない手はありません。地域の良さ・そこにある資源を活かしたまちづくりが必要不可欠なのです。
個人的には「空間」の構成要素の中でも食が大事だと考えています。食材の質がとても高い……これってものすごい可能性だと思うんです。
食材の良さを舌だけではなく肌で体験できたら最高ですよね。例えば、稲刈りや収穫体験をした後で一緒に食事を作るとか。里山里海に囲まれながら過ごす時間は貴重なものとなるに違いありません。
③「すべてのまちづくりが何かからの復興」
この言葉、すごく納得できるんじゃないでしょうか。
「七尾マリンシティ構想」も最初は七尾の元気が失われてきたことから始まった計画でした。さらに言えば、街の中心を流れる御祓川の汚染をきっかけに株式会社御祓川が設立されたことも、大きな意味では川の汚染からの復興です。
何らかの痛手を負ったところから、まちづくりは始まる。
2007年には能登半島で大きな震災(能登半島地震)が発生しました。被害も大きかったのですが、ある意味ではこの災害も地域復興の大きな要因になったと言えそうです。
「なぜなら、地震のおかげで『はずじゃなかった人』と出会えたから」
森山さんはそうおっしゃっていました。
まちづくりに関わるはずじゃなかった人、Uターンするはずじゃなかった人……七尾には、色んな「はずじゃなかった人」がいます。
そんな人たちに共通しているのは、
といった、『想い』です。
よく考えてみたら、僕もその「はずじゃなかった人」の一員です。
もともと地元は好きでしたが、地元のために何かをしたいという思いはなく、最近までただただ自分の街・七尾が衰退していく様をボーッと見ているだけでした。
しかし、幼い頃から利用していた商業施設が破産申請をし撤退したことで、「七尾に対して何か貢献したい」という想いが生まれ……「自分は七尾に対して何ができるか」それは今も僕の活動の原動力となっています。
もしかしたら、これを読んでいるみなさんもゆくゆくは「〇〇なはずじゃなかった人」になるかもしれません。
「はずじゃなかった」かもしれないけれど、その何かに一生懸命打ち込むことだって大事なモチベーションになるはずです!
最後に
今回お話を聞かせてくださった株式会社御祓川の森山さんには、感謝の想いでいっぱいです。
僕の地元である七尾に対しての想いがより一層強くなりました。
自分には何ができるのか、日々考えています。パッと思いつくのは、能登を盛り上げる交流会を作ること。関西で開催してみるのもアリです。
何よりも、若者が地元を愛する心を育みたい。御祓川さんで学んだことを活かして、その仕組みづくりを考えていきます。
みなさんも地元を再発見してみてはいかがでしょうか?
(谷一)
画像引用元
https://misogigawa.com
https://www.hot-ishikawa.jp/spot/1954
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/パトリア_(七尾市)
http://www.maff.go.jp/j/nousin/kantai/giahs_3_020.html