【水木の荒神社】小豆島・オリーブ園に潜む謎の神社とは【コラム】

コラム

驚いた。まさか20歳を過ぎて「道に迷う」ことがあろうとは。

ここは小豆島のオリーブ園。小豆島の観光スポットとして名高いこの場所には、大小合わせて相当数のオリーブの木が植えられている。

ぼくも他の観光客の人々と同じように、園内を練り歩いていた。奥へ、奥へと。

 

すると、不思議な光景に出くわしたのだった。

暗闇に潜む謎の神社

太陽の光が燦燦と差し込むオリーブ林とは打って変わって、その場所には背の高い木が鬱蒼と茂っていた。

「ここは一体……」

石造りの鳥居を、暗い森が取り囲んでいる。鳥居の先は真っ暗で何も見えない。観光客の姿も全くない。

中に入ってみると、そこは神社であった(鳥居があるのだから当然ではある)。

 

かつての栄光

広い敷地、立派な石垣。にもかかわらず、今では暗く、誰も近づかないような神社になっている。

「もしかすると、かつては相当栄えた神社だったのではないか」

そう思って辺りを見渡すと、神社について書かれた解説看板が目に留まった。読んでみると、ここは「水木の荒神社」と呼ばれる神社であるとのこと。

たしかに、かつては地域の方々に愛されていたらしい。しかし、台風を機に神社の舞台が失われてしまった。それを契機に、鬱蒼とした森へと変わっていったのだろう。

もちろん今でも大切に管理されているようだし、参拝に訪れる方々もいるはずだ。でも、若者が集って相撲を取るような遊び場ではなくなっている。

この神社は、オリーブ園が造られる前からずっとこの場所にあった。そして、オリーブ園の発展とそれに伴って増える観光客の姿もずっと見てきたわけだ。そう考えると、より一層寂しげに見えてしまう。

 

迷ってしまった

「行きはよいよい帰りは怖い」とはよく言ったもので、神社からオリーブ園の出入口までの帰り道にはずいぶん迷ってしまった。

ようやくたどり着いたのは最初と全く異なる出入口。

 

「ずいぶん遠くへ来ちゃったなぁ……」

 

そう思いはしたものの、周りの風景をよく見ると最初通った出入口からそうは離れていない。かなり長い距離を歩いて神社まで行ってしまったはずなのに、である。

まるで神様に騙されてしまったような不思議な感覚を抱く。こうしてぼくは離島のミステリーに引き込まれていった。

(つづく)

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