「はじめての災害ボランティア」
この記事は↑↑↑の記事を書いてくれた坂本くん(災害ボランティア経験者)による、乾さん(災害ボランティア初体験)へのインタビュー形式で進んでいきます。
大阪大学工学研究科地球総合専攻建築工学コース修士2年の佐藤綾香です。
ボランティアサークルには無所属で、今回初めて災害ボランティアに参加しました。
参加する前は、災害ボランティアへ参加する方法も知らないし、誰と一緒に活動するかも迷っていたため、参加へのハードルがありました。でも、参加前に準備や活動内容に関して教えていただくことで、安心して臨むことができましたよ!
※ちなみに今回説明に使った資料はこんな感じです↓↓
自分の目で見ると……
住宅の被害状況を現地で確認し、外見よりも被害が深刻だと知った時です。
今回担当した建物は外見だと無被害に見えました。が、床下浸水のため必要な対策をしないと今後の居住に悪影響があるとお聞きしました。
そうですね。この経験を通じて、被害の状況を知るためにはニュースを見るだけではなく、実際に現地で人に聞いたり、自分の目で確認したりする必要があると感じました。
住宅の床下の様子
それと、ボランティアが終わった後、床下浸水した住宅の被害内容と処理方法を調べました。
床下浸水した住宅では、水が引いたからといって直ちに元の生活に戻れるわけではなく、対策を施さないと異臭やカビが家屋内に発生し、感染症のリスクが高まるそうです。
床下浸水した住宅は、排水、乾燥、消毒を行う必要があるそうです。
床下の乾燥は、扇風機を用いることも有効です。乾燥させることで、異臭やカビ、土台・束・床組みなどの建物部材の腐敗を防ぎます。
それに加えて消毒を行うことで、様々な細菌が室内を舞うことを防げるそうです。
学校では教えてくれない
はい!ありがとうございます。
建築工学コースで建築地震地盤学領域に所属し、4回生の時から地震時の建物の安全性を高める研究をしています。具体的には、地震時の安全性が高いとされている免震建物の、極大地震時における建物の応答低減機構を研究しています。
とはいえ、災害現場に関わる分野(医療・救急・建設・行政など)がたくさんある中で、実際の現場に行ってみようとする学生は少ないように感じます。
そうかもしれませんね。
研究では被災した地域に行く機会は限られており、被災地の実情をあまり知れなかったため、経験する機会を探していました。
そんな中、建築の授業の際に『災害ボランティアサークル‟すずらん”』の坂本くんと知り合い、災害ボランティアに参加させてもらえるようにお願いしました。
後輩の僕がいうのもなんですが、今回の経験は将来の仕事でも役に立ちそうですね!
これからは建物の構造設計者として、災害に強い建物の設計に携わることになります。
水害被害の状況を知っていると、よりよい建物の設計をするのにも役立ちますね。また、同業者以外の人々にも被害状況を伝えていくのも私たちの役目かなと思います。
ですので、今後も社会人として可能な範囲でボランティア活動をしていきたいです。
観光と災害ボランティア
2日目の観光も楽しかったです!観光をしたことで分かったこともありました!
栃木の人々は観光客に対してとても親切でした。
特に栃木市の銭湯では、地元の方々におすすめのレストランを尋ねたところ、食事の目的ごとにさまざまな場所を教えていただきました。
そこで、ボランティア後にあらためて栃木市で訪れた銭湯『玉川の湯』について調べています。
創業は明治22年で、現在の建物は昭和28年に改築したものです。現在も薪でお湯を沸かしています1)。金魚湯の別名の通り、浴槽の奥で泳いでいる金魚を眺めることができます。
台風19号の際には、なじみのお客さんが復旧作業を手伝ったそうです2)。
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/235211
観光してボランティア活動をする地域を知ることで、今後の自分や他者のボランティア活動を後押しできるのではないかと思います。
今回、栃木・日光を観光することで、栃木県の魅力を知り、現地の人々の暖かさを感じました。
そして、このような地域のボランティアに今後も関わっていきたいと思いました。
ボランティアを通して「あたたかさ」を知る
ボランティア初参加でしたが、すずらんの方や社会福祉協議会の方に支えていただくことで、復旧作業時にしっかりと動くことができたのではないかと感じています。
初対面でしたけど、観光も含めて暖かく楽しい時間を過ごさせていただけたように思います。大変充実したボランティアでした。本当にありがとうございました。
ボランティア終了後、佐野市社会福祉協議会の職員の方に暖かい言葉をかけてもらいました。
職員の方と話をして、佐野市においてはボランティアによって復旧援助を継続する必要があること、ボランティアが誰かの生活の手助けになっていることを実感しました。
ボランティア活動の雰囲気を前よりも掴めたため、自分から次の活動地を探したり、知り合いを誘ってみたりしようと思います。
すずらんの方にこれまでの活動状況を教えてもらうことで、災害ボランティアの知識がついたことと。周りの方々の協力により初参加でも現地で動くことができたため自信がついたこと。それで、こう思えるようになったのだと思います。
そして最後に!読者の方に向けてメッセージをお願いします。
日常生活では災害ボランティア活動の活動内容について知識を得る機会が少なく、参加へのハードルは高いかもしれません。
今回のボランティア活動では、経験者がいる団体もいれば、初参加者のみの団体もいました。けれども、経験を問わず活動を紹介してもらい、初参加の私でも様々なグループと共に一丸となって作業をすることができています。
気持ち次第で、誰でもボランティアを始められるのです。
私自身初めての災害ボランティア活動でしたが、現地で動くことで少しでも復旧の手助けができたと感じています。
もし災害ボランティアに興味をお持ちでしたら、ボランティア経験者に話を聞いたり、ネットで情報を調べてみたりすることから始めてみてはいかがでしょうか!
編集後記「はじめての災害ボランティア」
『社会貢献』、それってなにが面白いの?
誰もが自分のことで精いっぱいな現代社会では、例えば災害ボランティアのような『社会貢献』に興味を抱く人は決して多くない。
そればかりか、「なんでそんなことしてるの?」と冷ややかな視線を投げかける人もいる。
以前はわたしでさえそうだった。
しかし、その認識は間違っていたのだ。
連載「はじめての災害ボランティア」に参加した人々の感想を見てほしい。誰もがみな、『抵抗はあったけど、参加してみると楽しかった』と言っている。
他者の利益のために行動できる人の、なんと楽しそうなことか。なんと嬉しそうなことか。
―――
残念ながら、新型コロナウイルスが感染を拡大しつつある現在では「災害ボランティア」を含め、具体的な行動を伴う形での『社会貢献』は難しい状況にある。
それでも、「自分にできることはなにか」。考えてみてほしい。
それが家にいることなのか、社会のインフラを守ることなのか、地元経済や地元の生活を守ることなのか。
そして、それはやり方しだいで十分に楽しめる。
今はだれもが『ボランティア』の最中だ。抵抗はある。でも、チャレンジしてみると、意外と楽しいかもしれない。
ボランティアを励んだ人々の感想に耳を傾けてみて、改めてそう思った。