大阪大学の3限には、日本中どこからでも出席できる説

交通

検証開始

筆者の地元は山形県の最南端・米沢市。山形県に2つある空港はどちらも米沢市から遠いので、ルールに則って大阪まで鉄道を利用することにした。

大体こんな感じ(ガバガバ)

米沢駅から山形新幹線に乗り、まずは東京駅へ。東京駅で東海道新幹線に乗り換えて新大阪駅を目指す。新大阪駅から地下鉄御堂筋線、千里中央駅で大阪モノレール……と乗り継けば、問題なく阪大に着く。

約6時間かかるけど。

1月6日 朝7:02米沢駅発

家族に見送られながら、地元・米沢を発つ。

思えば、「6日に大阪に戻るよ」と告げたとき、父は唖然としていた。

 

「授業があるんじゃないのか?」

 

うん、あるよお父さん。でも午後からの授業だから多分間に合うよ。

 

「そんなこと言ったって、新幹線が遅れたら駄目じゃないか」

 

正論である。やれやれ、と言いたげな表情。

でも、少しニヤけていた。息子と少しでも長い時間過ごせるのは、やっぱり嬉しいことなのかもしれない。

ただし、父が不安視したとおり、当日は実際にちょっとしたピンチに陥った。しかも、新幹線に乗る前に。

暖冬の中久しぶりに降った雪で、自宅から駅へ向かう道路が意外と混雑していたのだ。

 

え、これ間に合う?

 

見送りに来てくれた父、弟、そして車を運転してくれていた母に動揺が広がる。

結果、5分前には駅に着いた。都会育ちのみなさんには“なんだ余裕じゃないか”と思われるかもしれない。だけど、本数が少ない地方では、5分前とかでも不安になってしまうのだ。

ごめんよ、母さん。焦らせてしまって。

冒頭で述べたことを確認しておこう。この検証の目的は、少しでも実家で長く過ごすことだった。

嬉しそうな父の顔や、慈しみに満ちた母の顔、必死に高校生活を起こっている妹と弟の顔……

走り出した新幹線の中で、家族の表情を思い出す。授業のある日の朝まで粘ってみることで、皆のカッコイイ姿を目に焼き付けることができた。

9:12東京駅着→9:30東京駅発

なんてクサイことを考えていたら、あっと言う間に東京駅に着いていた。

ここからは東海道新幹線の旅が始まる。つまり、ここまで乗ってきた東北新幹線から乗り換えなければならない。

筆者が乗り込んだのは9:30発の「のぞみ号博多行」

実を言うと、最初は9:20発の「新大阪行」に乗るはずだった。ただし、東京駅での乗り換え時間が”8分”と大変短くなってしまう。

 

「なんであんなルール設定したんだ……」

 

比較的新幹線に乗り慣れている筆者なら、乗り換え時間3分くらいでもイケる。けれど、「妥当な交通手段を使う」との制約がある以上、無茶はできない。

仕方なく9:30発の新幹線に乗り込む。

苦渋の決断だった。第一、授業に間に合わない可能性が出てくる。そして何より、寝過ごすと最悪の場合博多まで行ってしまう。

「寝たら終わり、寝たら終わり……」

早起きして長距離を移動したのだから、それはもうだいぶ疲れている。気分転換に、と思ってアイスを食べることに決めた。

新幹線の車内販売で買えるアイスは、非常に“硬い”ことで知られている。その証拠に、スプーンがアイスの上で“立つ”

Twitterで「#シンカンセンスゴイカタイアイス」と検索してみてほしい。同様の画像がたくさん見つかるだろう。

静岡県に入ったくらいで買ったイチゴ味のアイス。柔らかくなるまで放置していたにもかかわらず、それでもなお硬い。

食べ終わる頃には愛知県に差し掛かっていた。そうなると残りはわずかである。

東海道沿いの途切れない街並みを眺めていると、いつの間にか京都。京都から大阪なんて、新幹線なら一瞬。

大阪が近づくにくれて寂しい気持ちは次第に消えてゆく。だって、もうゴールは目の前なんだもの。一人暮らしの日常へと徐々に戻りつつあることを、無自覚に自覚し始めてしまうわけだ。

12:03新大阪駅着→12:10新大阪駅発

新大阪駅に着く頃には、今日の朝地元にいたことなんてすっかり忘れていた。

とにかく、ここまで全くトラブルもなく来れてしまったことに対する安堵の気持ちが大きかったからなのかもしれない。

 

しかし、通学はまだまだ続く。

 

新大阪駅では、地下鉄御堂筋線への乗り換えが待っている。新幹線のホームと地下鉄のホームが比較的遠い新大阪駅。乗り換え時間もそう多くはなかったので、非常に心配だった。

まあなんとか間に合った……。

12:24千里中央駅着→12:36千里中央駅発

新幹線2本で合計5時間を費やすと、地下鉄の乗車時間なんてホントに短く感じられる。危なげなく千里中央駅に着いてしまった。

ここからは大阪モノレールに乗り換える。

モノレール千里中央駅のコンコースには、「大阪大学のパンフレットコーナー」が設置されていた。

「もう実質阪大じゃん」

正直、全く面白いことは起こっていない。ここまで順調すぎた。

12:42柴原阪大前駅着

柴原阪大前駅に着くと、阪大生の集団がゾロゾロと降り始めた。その多くは、大阪の北東部エリアや京都から通ってきた学生だろう。山形から変な人が来てるなんて知らないはずの人たち、と思っていたのだが。

 

いや、そんなことはなかった。

 

この【阪大の3限の授業には、日本中どこからでも出席できる説】の検証について、筆者は嬉々としてツイートをしていた。それが割と阪大生の中で拡散されていたのだ。そうなると、当然「知っている人」が出てくる。

モノレールを降りると、筆者の大きな荷物を指差して笑う声が聞こえた。

 

「コレってアレだよなwww」

 

指示語だけで喋るなよ。

そんなことはどうでもよくて、実際は駅から教室までの距離が結構遠いことが気がかりだった。

大阪大学豊中キャンパス「柴原門」

大阪大学豊中キャンパスの敷地は広い。端から端までの移動には下手すると20分くらいかかってしまう。

加えて、今回出席する授業の教室はキャンパスのど真ん中にある。言い換えれば、大学のどの入り口からも遠い教室。柴原阪大前駅からも当然遠い。

したがって、少し早歩きで向かうことにした。果たして結果は……!?

12:55教室着

余裕で間に合った。

むしろ普段は遅刻気味に登校しているので、いつもより早いくらいだ。

 

【阪大の3限には、日本中どこからでも間に合う説】の一つの検証として行った、山形県米沢市から大阪大学の3限の授業への出席。

見事、達成。

所要時間は約6時間。総移動距離は約878km。

 

東北地方からでも、阪大の3限には間に合う……!

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