忘れ去られた『謎の洞窟』
古墳時代から用いられ、江戸時代には市街の開発に活用された神崎岩。
偕楽園から千波湖と水戸市街地を望む
その採掘に用いられた江戸時代の人工の洞窟は、今でもなおその姿をとどめています。
不思議なのは、この洞窟の存在を多くの市民が知らないことです。
『南崖の洞窟』には奇妙なうわさがありました。なんと、洞窟は水戸城へと続く秘密の通路になっていて、有事の際は洞窟を使ってお城から偕楽園へ抜け出すのだ……と。
これは偕楽園の公式パンフレットなどにも掲載されている情報です。つまり、市民にとって『謎の洞窟』は秘密の抜け道としての印象が強いんですね。
へぇー……。
市街の開発に大きな成果を残しながら、水戸市民のあいだでは忘れ去られてしまった『謎の洞窟』。
神崎石の採掘坑としての役目は時が経つにつれて忘れ去られ、いつしか『秘密の抜け道』へ……。
せめて、この記事を読んでくださった方には水戸の洞窟の存在を覚えていていただきたいな、と切に願います。