私たちの「卒論」、コロナ禍でどうなっちゃうの!?~文系編~

インタビュー
ここからは筆者(コフンねこ)によるインタビュー形式となります

I大学・Iさんの場合(心理学)

I大学で心理学を学んでいる大学4年生のIさん。彼女は卒業論文を進めるために行う予定だった「ある調査」が中止になって困っているといいます(個人特定を避けるため、情報にフェイクを入れています)。

調査の予定が中止になってしまった

「卒業論文のための研究を進めるにあたってなにか困っていることはありますか?」

「はい。私は心理学の研究で、幼稚園に通っているこどもの心理を調べることにしていました。それで実際に近所の幼稚園で調査を行う予定だったんですけど、結局新型コロナウイルスの影響で断られてしまったんです」

「なにか代わりの案は出ているんでしょうか?」

「幼稚園での調査はこれから先も難しいと思うので、オンラインで調査を行うつもりです」

 

「人」を観察する学問

「そもそも心理学って人を観察するんですよね?だとすれば、人と人との接触をなるべく減らさなければいけない今、大学で心理学を勉強している人はみんな困っているんじゃ……」

「心理学にはいろいろ種類があるので、観察だけじゃないですよ!街頭でアンケートをとったり、インタビューをしたりする研究もあります」

「え!知らなかったです」

「でも、アンケートやインタビューだって人との対面が必要ですよね。だから、私の周りはみんな“卒業研究どうしよー!”って言ってます。なんとかみんなオンライン調査に切り替えてるみたいですけど……」

 

就活との両立は?

「Iさんは就活にも取り組んでいると聞きました。すごい失礼なこと聞くんですけど、卒業研究の方針転換と重なって大変じゃないですか?」

いや、実はそうでもないんです。むしろ卒論が進まなくなったぶん、就活に集中できるようになりました」

「なるほど、少し意外でした。ほかにも“結果的によかったこと”みたいなのがあれば聞きたいです」

「私の大学では、12月中だった卒論の提出期限も1か月伸びました。これにはいいところとわるいところがあって、スケジュール的に余裕ができたのは良いですけど、気持ちよく年を越せないなって思います」

「まさに一長一短ですね……」

 

O大学・Fくんの場合(言語学)

O大学で言語学(形式意味論)を学んでいるFくん。いわゆる「理論系」の研究を進めているFくんの悩みは「本が手に入らないこと」だといいます(個人特定を避けるため、情報にフェイクを入れています)。

必要な本が手に入らない

「卒業論文のための研究を進めるにあたってなにか困っていることありますか?」

「ひとまとめにすると、本が読めないことですね」

「うんうん、わかります」

「今は図書館も閉まっていて必要な本が借りられないし、じゃあ買うかと思っても在庫切ればかり。いまのところ本にアクセスする方法がぜんぶ断たれているのがつらいところです」

「もしかしたら全国の大学生・研究者が同じ理由で本を買ってるからなのかもしれませんね」

「それもそうだし、もしかしたら流通が生活必需品優先になってるのかも、とか思いました。最近は各大学で図書館から自宅への書籍配送サービスも始まってるみたいですけど、一つの図書館に同じ本が何冊も置いてあるわけじゃないし、結局手に入らないのは同じだと思ってます」

 

このままではアカデミアがやせ細る

「他にもなにか困っていることとか、伝えたいこととかありますか?」

「同じ理論系※1の研究をしている人の中には、“このまま家の中にいても研究できるじゃんラッキー”とか言ってる人も少しいるんですけど、それはマジでやめてほしいですね。そういう考え方って、結局アカデミア※2をやせ細らせるんです」

※1「理論系」……ここでは、フィールドワークや実験を伴わない学問領域のこと。
※2「アカデミア」……専門性の高い学問の世界のこと。

「たしかに、外の世界に出てみないとわからないことだってたくさんあるのに……」

インタビュー
この記事を書いた人
コフンねこ

大阪在住の大学生。Our Local編集長・ライター・Web企画。古墳が大好きで、話し出すと止まらない。普段は魚を捌いたりラーメンを作ったりしている。お仕事依頼はTwitterのDMまたはkofun.neko@ourlocal-labo.comへ!

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